~AIR BORN~~AIR BORN(離陸)~この時パイロットは計器チェックをしながら、すでに管制塔とやり取りをしているのだ。 離陸に使う滑走路の確認、スクランブル・オーダー(離陸許可)のリクエスト、 どちらの方向に高度何ft(フィート)で飛ぶのか、アンノウン(国籍不明機)の方角、 離陸後のレーダーサイトはどこなのか、周波数はいくつで交信するのか、・・・・ 残っているGホース、シートベルト、ハーネスを装着しながら必要な情報を入手する。 「チョークアウト」 パイロットからのサインが出た! すでに離陸許可は出たようだ。 今日のパイロットはM3等空佐。全国のF-1ドライバーの中でもトップクラスの腕前だ。 さすがに早い。 車輪止めを外し、サイドワインダーからセフティーピンを抜き取りパイロットに見せる。 「チョークアウト・・・・OK!!」 俺はサインを出した。 すかさずM3佐は右手を振りかざした。 「出るぞ!!」 自分は斜め前方へ移動して、すぐ誘導を開始する。 スロットルを上げる、ノーズがグワっと上下に揺れる。 「ブレーキリリース」 機体がスルスルと動き始めた。 近づいてくる・・・ 自分の横を通り過ぎるときには必ず敬礼を交わす。 (いってらっしゃい・・・・そして何事もなく無事に・・・)そう願いを込めて・・ パイロットもそこは分かっていて左手で返事を返す。 右手はステアリングボタンを押しているからだ 送り出した後、ふと、僚機の方が気になってそちらを見たら まだ、チョーク(車輪止め)が外れていない。 普段なら離陸準備が整うまで待つのだが、今はSC(スクランブル)・・、実戦なのだ。 ウイングマン(僚機)もフライトリーダーも関係なく、早い者から上がってゆくのだ。 遅いものは置いていかれる。 後から必死でレーダーを使い追ってゆくのだろう・・ M3佐の機体に目を向けると、すでにランウェイ(滑走路)近くまで進入している。 ランウェイに進入して、ノーズ(機首)が並行になるやいなや轟音がこだまする。 「ランニングテイクオフ」 自分が見た誰よりもM3佐は「バスター(マックス)」に入れるのが早いと思う。 みるみる加速してゆきAIR BORNしていった・・・ (自分の仕事はここまでだ・・・) 「アンノウン,千島列島北西420nm,30000ft,南南西に370ktで進入。ダイバード(指向)」 雲の中に消えるまで、アフターバーナーの炎を見届けていた。 ~15年前、3WGにての追憶~ ジャンル別一覧
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