1052527 ランダム
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はっとしてドゥ!!

はっとしてドゥ!!

~AIR BORN~

~AIR BORN(離陸)~



AB.JPG



この時パイロットは計器チェックをしながら、すでに管制塔とやり取りをしているのだ。

離陸に使う滑走路の確認、スクランブル・オーダー(離陸許可)のリクエスト、

どちらの方向に高度何ft(フィート)で飛ぶのか、アンノウン(国籍不明機)の方角、

離陸後のレーダーサイトはどこなのか、周波数はいくつで交信するのか、・・・・

残っているGホース、シートベルト、ハーネスを装着しながら必要な情報を入手する。


「チョークアウト」  パイロットからのサインが出た!


すでに離陸許可は出たようだ。

今日のパイロットはM3等空佐。全国のF-1ドライバーの中でもトップクラスの腕前だ。

さすがに早い。

車輪止めを外し、サイドワインダーからセフティーピンを抜き取りパイロットに見せる。


「チョークアウト・・・・OK!!」  俺はサインを出した。


すかさずM3佐は右手を振りかざした。


「出るぞ!!」


自分は斜め前方へ移動して、すぐ誘導を開始する。

スロットルを上げる、ノーズがグワっと上下に揺れる。


「ブレーキリリース」


機体がスルスルと動き始めた。 近づいてくる・・・

自分の横を通り過ぎるときには必ず敬礼を交わす。

(いってらっしゃい・・・・そして何事もなく無事に・・・)そう願いを込めて・・

パイロットもそこは分かっていて左手で返事を返す。 

右手はステアリングボタンを押しているからだ

送り出した後、ふと、僚機の方が気になってそちらを見たら

まだ、チョーク(車輪止め)が外れていない。


普段なら離陸準備が整うまで待つのだが、今はSC(スクランブル)・・、実戦なのだ。

ウイングマン(僚機)もフライトリーダーも関係なく、早い者から上がってゆくのだ。


遅いものは置いていかれる。 後から必死でレーダーを使い追ってゆくのだろう・・

M3佐の機体に目を向けると、すでにランウェイ(滑走路)近くまで進入している。

ランウェイに進入して、ノーズ(機首)が並行になるやいなや轟音がこだまする。


「ランニングテイクオフ」


自分が見た誰よりもM3佐は「バスター(マックス)」に入れるのが早いと思う。

みるみる加速してゆきAIR BORNしていった・・・




(自分の仕事はここまでだ・・・)













「アンノウン,千島列島北西420nm,30000ft,南南西に370ktで進入。ダイバード(指向)」









雲の中に消えるまで、アフターバーナーの炎を見届けていた。




                       ~15年前、3WGにての追憶~


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